循環器内科

循環器内科とは、全身に血液を供給するためのポンプである『心臓』、血液を運ぶ管である『血管』、血管の壁に加わる圧力である『血圧』、の異常を捉え治療を行う専門内科です。
血管の全長は約10万キロメートルとされ、およそ地球2周半の長さに相当します。全身に張り巡らされているため、各臓器に影響を及ぼします。血管には心臓から全身へ血液を供給する「動脈」と、各臓器から心臓へ血液を運ぶ「静脈」があります。動脈が硬くなる「動脈硬化」は気付かない間に次第に進行し、それを放置しておくと心筋梗塞や狭心症、不整脈や心不全などの重篤な疾患を引き起こす原因となります。
当クリニックでは、まずこの様な疾患の原因となる高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)や高尿酸血症といった、いわゆる動脈硬化の危険因子の評価を行い、必要に応じて血管内皮機能検査や脈波検査を行って、動脈硬化の進行の程度を探り治療に役立てます。病状をわかりやすく数値化したり画像化したりすることで、患者様の理解を深め、十分に納得していただいた上で治療を進めていきます。
主な症状
- 動悸
- 息切れ
- めまい
- 呼吸困難
- 胸痛
- 胸の圧迫感
- 高血圧
- むくみ
- 頭痛など
主な病名
●高血圧症
高血圧が体に悪いことはわかっていても、目に見える症状がないからと放置している人が少なくありません。高血圧は放っておくと命に関わる重大な病気につながります。
現在、日本人で高血圧有病者は約4300万人と推定されます。年齢を重ねるにつれて増加し、60代では男女ともに約6割、70代では男性約8割、女性約7割が高血圧です。加齢は高血圧の要因の一つですが、それ以外でも血管にダメージを与える生活習慣が長期間持続することが問題です。塩分の多い食事や、過度の飲酒、運動不足、肥満、喫煙など、血管がしなやかさを失い血圧が上がりやすくなるのです。
高血圧では、頭痛や吐き気などの症状を伴う場合がありますが、大部分は無症状で経過します。放置していると脳・心臓・腎臓に悪影響を及ぼします。
●脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症(高脂血症)とは、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪が増加する状態です。
平成26年度の厚生労働省による患者調査では、継続的な治療を行っている患者総数は206万余りと言われています。一般的には、高カロリー高脂肪の食事と運動不足が一番多い原因ですが、遺伝性の脂質異常症も高い頻度でみられる疾患です。ほとんどの場合、健康診断で初めてわかることがほとんどです。脂質異常症(高脂血症)は動脈硬化を起こす大きな原因のひとつです。脂質異常症(高脂血症)にはいくつかの分類があり、治療も人によって異なります。ご自身がどのような脂質異常症(高脂血症)なのかを見極め、治療を選択することが重要になります。
●狭心症・心筋梗塞
狭心症とは、心臓の筋肉(心筋)を栄養する血管(冠動脈)が狭くなり、結果心筋が酸欠状態になり、息切れや動悸、胸痛といった症状を引き起こします。また、狭くなった冠動脈に血栓などが詰まって血液の通り道が塞がり、心筋の一部が壊死するのが心筋梗塞です。詰まった場所によっては、ポンプ機能が著しく低下したり(心不全)、重篤な不整脈を起こしたり、心筋が敗れたり(心破裂)、心停止(=突然死)に至ることもあります。
予防としては、動脈硬化の進行の程度を知り、悪化を防ぐ事です。すなわち、動脈硬化の危険因子である高血圧や糖尿病、脂質異常症などを評価・治療し、禁煙など生活習慣の改善を図ることが大切です。
●心不全
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。心不全は病名ではなく、このポンプの働きに障害が生じ、いろいろな症状を引き起こしている状態を指します。
心筋梗塞や狭心症、不整脈などによって急激にポンプの働きが弱まり、短期間に悪化する場合を急性心不全、心筋症や弁膜症など、長期間にわたって心不全症状を認める場合を慢性心不全、といいます。
慢性心不全の症状としては、健康な人なら何でもない平地歩行など、ちょっとした動作でも動悸や息切れがしたり、疲れやすくなる、さらには、せきやたんが止まらない、むくみが出るなどの症状が見られます。
●不整脈
不整脈は、脈の打ち方がおかしくなることを意味します。この中には異常に速い脈や遅い脈も含まれます。
初めて不整脈に気づくのは、動悸がしたり健康診断で心電図をとってわかることも多いのではないでしょうか。
不整脈は加齢とともに増えます。また、ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなります。そういう意味では、だれにでも起こりうるものだと言えるでしょう。高血圧の人、肺に病気がある人、甲状腺に異常がある人も不整脈が出やすいです。
●動脈硬化
動脈硬化は「サイレントキラー」と異名を持つ恐ろしい病気です。最初のうちは自覚症状はありませんが、気付かないうちに重篤な病気を引き起こします。危険因子である高血圧、糖尿病、肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)の是正や、禁煙・食事療法等の生活習慣の改善で予防する事ができます。
また、動脈硬化によって脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・腎臓の病気・四肢の動脈閉塞など、重篤な病気を引き起こす要因となります。血管の詰まりの程度(ABI)や硬さ(CAVI)、血管内皮機能(FMD)の評価などで、ご自身の血管年齢を知る事も、予防や治療に非常に有用です。