糖尿病
糖尿病とは血糖値が慢性的に高くなる病気です。
炭水化物を摂ることでブドウ糖が体内に取り込まれ、エネルギー源として使われます。
そして血液により全身に運ばれ、形を変えて肝臓・筋肉・脂肪組織に蓄えられます。
ブドウ糖を体内で利用するには、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが欠かせません。インスリンの作用が低下すると血中に過剰なブドウ糖が増え、その結果血糖値が高くなってしまいます。
糖尿病が高齢者に多い原因としては、すい臓のインスリンを分泌する力が低下するためです。また、筋肉量の減少、身体活動の低下も原因になります。
糖尿病はその原因により4つのタイプにわかれます。
●1型糖尿病
ウィルス感染などがきっかけで、すい臓のインスリン分泌細胞(β細胞)が壊され、インスリンが出なくなる糖尿病で、こどもの頃に発症することが多いとや言われています。ところが最近では、あらゆる年齢層に起こる可能性があると言われ、次第にあるいは突然発症するものがあります。
▲ページトップに戻る●2型糖尿病
すい臓で作られるインスリンの量が少なくなるか、またはインスリンの働きが悪くなる(=インスリン抵抗性)ために発症する糖尿病です。日本人の成人糖尿病の9割以上がこのタイプです。自覚症状がないため、会社などの健康診断でみつかる事が多く、以前は中高年以降にみとめられましたが、最近では食生活の欧米化などにより若い人や子どもにも増えています。
危険因子は、年齢、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、遺伝、高血圧、ストレスなどですが、特に高血圧の人は正常な人に比べて糖尿病を合併する割合が高いことが報告されています。さらに、脂質異常症(高脂血症)を合併すると、脳卒中や狭心症・心筋梗塞などを発症するリスクが高まります
●妊娠糖尿病
妊娠の影響で発症する糖代謝異常の一種です。妊娠前から糖尿病と診断されていたわけではなく、妊娠中に初めて見つかったものを指します。
妊娠糖尿病になると、様々な合併症が起こるリスクが高くなり、また将来的に糖尿病になる可能性が高まるため、早期発見と適切な対処をする必要があります。
●その他の糖尿病
インスリン遺伝子に異常があるもの、内分泌疾患、肝疾患やステロイドの長期服用などに伴って発症するものです。特殊な状態なので、糖尿病専門医はじめ各種専門医との連携が必要な病態といえます。
合併症に注意!
糖尿病を放置していると、全身の血管が障害されて、さまざまな合併症が起きます。
- ◎糖尿病性神経障害
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細い血管が障害されて血流が悪くなると、神経細胞への血液の供給が弱まる状態です。自律神経にも障害が起こるため、発汗異常、立ちくらみ、便通異常、膀胱障害、勃起障害などの症状が現れます。また、痛みを感じにくくなるため、ちょっとした足の傷や、ヤケドに気づかず、壊疽(えそ)になって足を切断することもあります。
- ◎糖尿病性網膜症
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目の奥の網膜にある細い血管がもろくなり、出血したり、詰まったりします。視力低下が起こり、延いては失明を招く病気です。
- ◎糖尿病性腎症
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尿にたんぱくが出て、進行すると腎臓の老廃物を排泄する働きが失われていきます。透析療法を導入する原因の第1位が子の病気です。
- ◎閉塞性動脈硬化症
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手足の血管に動脈硬化が起こり、血液の循環が悪くなって歩行が困難になります。悪化すると、痛みで歩けなくなり、やがて潰瘍、壊疽(えそ)を起こして、場合によっては足を切断することもあります。糖尿病では10~15%と高い割合で合併します。
- ◎脳梗塞
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糖尿病でない人に比べて2~4倍の発症リスクがあるといわれています。
- ◎狭心症・心筋梗塞
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心筋梗塞を起こす頻度は、健康な人の3倍以上で、神経障害があるため、はっきりした自覚症状がないことが多いのが特徴です。
- ◎認知症
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アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症を発症するリスクは、糖尿病でない高齢の人の2~4倍あるといわれています。
糖尿病が誘発する病気
- 高血圧
- 脂質異常症(高脂血症)
- 骨粗しょう症
- うつ病
- 痛風
糖尿病は食事療法や運動療法、薬物療法などを行い、血糖値をコントロールして合併症を防ぐことが重要です。